ここでは、新時代のスーパーマーケット経営の課題を解決に導くと言われている「プロセスセンター」の中でも、精肉部門に着目し、現在地と、これからのプロセスセンターに求められるものをまとめました。
2021年10月に「一般社団法人全国スーパーマーケット協会」「一般社団法人 日本スーパーマーケット協会」「オール日本スーパーマーケット協会」が発表した「スーパーマーケット年次統計調査報告書」によると、2021年のプロセスセンター活用率は48.0%と、前年に比べて2.9%の増加を見せています。
商品カテゴリーを見ても、畜産がトップと、プロセスセンターの中でも、畜産部門における活用は、各社意義を感じて取り入れていると言っても良いでしょう。
では、導入コストをかけてまでプロセスセンターを取り入れるメリットとはなんなのか、今更ですが、確認しましょう。
各店舗で行ってた作業をプロセスセンターに集中させることで、店舗の人件費削減が叶い、反比例するように人時生産性が向上します。
食肉加工機を製造する各社も、プロセスセンターへの導入を視野に入れた機種を続々と送り出し、カットスピード、定量化などのニーズに応えられるよう、開発をしており、最近では省人化・省力化に着目する加工機が増えています。
こういった加工機を導入することで、慢性的な人手不足に苦しむ小売業界において採用コストも削減でき、また採用後の教育コスト削減にも貢献。
要は、さまざまなコストを削減できるというわけです。
とくに、コロナ禍において店舗の人員が不足するといった事態において、プロセスセンターを活用できていた企業は、安定的な供給が可能であったといいます。
ここまで数々のメリットを語ってきましたが、十分にその真価を発揮しきれているという企業がまだ少ないのが課題と言えます。
多くの企業が、店舗で行っていた業務をプロセスセンターに集中しただけで、満足してしまっており、さらなる省人化、新たな価値の創出にまで至っていないというのが現実。
スーパーマーケットへのプロセスセンター導入に多くの実績を持つ「平井カンパニー」にFOOMA JAPAN 2022会場にて話を聞いてみると、「プロセスセンターを稼働させるというフェーズは一巡し、より儲かるプロセスセンターを作るフェーズへと移行しつつある中で、さらなる効率化・省人化が鍵となる」と言います。
その効率化や省人化の鍵となるのは、当然機械化やテクノロジー。
生ものを扱い、水を多用するプロセスセンターでは、自動化の難易度が高いと考えられてきましたが、食肉加工機の大手メーカー各社から、続々とスライス肉の自動盛り付け機が発表されています。
「ロボットは高価で、まだまだ手作業の方が良いと思われていますが、さらなる人手不足、またこのコロナ禍のようなそもそも人を使うリスクなどを鑑みると、将来的に精肉プロセスセンターの多くの作業がロボットに代わる時代が到来するはずです」(平井カンパニー)
2022年6月7日〜6月10日に開催された国際食品工業展・FOOMA JAPAN 2022での、食肉加工機各社ブースにおける動向を確認してみると、たしかに、効率化・省人化にリーチする製品の展示が目立ちました。
代表的な食肉加工機メーカーである、なんつねは自動盛付けロボ「スコーピオン」、ワタナベフーマックは自社の「ギャラクシー」に古川精機の「スイットル」を組み合わせた自動ラインを、日本キャリア工業はロボットハンドを交換することで、多種多様な盛付けが可能な「ロボットパッカー(RP-001)【写真左】」を展示。
過去にもこういった自動盛り付け機の展開はありましたが、精度の問題や、結局人の手が必要になることなどがあり、「まだまだ導入するクオリティではない」と思われてきました。
しかし、今回のFOOMAでは、スムーズな動き、また馬蹄盛りなどの盛り付けまでもこなす盛り付け機の数々が展示され、「自動盛り付け機新時代」の到来を思わせました。
各社デモを行っていましたが、それぞれ大きな人だかりができており、業界内でもさらなる自動化への関心が高まっていることは明白。
ファーストペンギンになるには勇気がいる。
しかし後発にはなりたくない。
新機械導入においては、予算以外にも、そういった気持ちがあることは間違いありません。
しかし、コロナのようにいつ・何が起こっても、すぐに対応できることが生き残りの必須条件となっている現代では、プロセスセンターの未来を見据え、効率化・省人化を目的とした自動化に徐々に歩き出す日は必ず来ます。
それが早いか遅いか。
決断するのは、今かもしれません。
基本構想から稼働・運用までトータルサポートし、業界屈指のプロセスセンターの導入・運営支援の実績を誇る。
また、きめ細かいアフターフォローにも定評があり、首都圏においては、365日対応が可能。